材料について
ジェラートは素材の味をそのまま表現できるスイーツです。
言い換えれば、素材次第で良し悪しが決まると言っても過言ではありません。
そのため、主原料となる牛乳や、その他全ての材料を厳選し使用することが必要不可欠です。
“どんな食材でもジェラートにできる”
という言葉をよく聞きます。
確かにそれは間違いではありません。しかしある意味では大きな間違いでもあります。
それは“どんな食材にも向き不向きがある”ということです。
当店では、イタリアで愛され続けているものはもちろん、日本らしい食材においてもジェラートに向いている食材を見極め、試作を重ねた上でジェラートに仕上げていきます。
ジェラート原料の中で、半分以上の含有量を占める牛乳。
そんなジェラートの命とも言うべき牛乳は、Mica Maleのジェラートに求める味にもっとも近い、北海道産の乳脂肪分3.8%(冬場)の牛乳を使用しています。
安定剤
安定剤は、ジェラート作りに欠かせない材料の一つです。
名前の通り、ジェラートを安定させる役割があり、滑らかさや食感にも大きく関わってきます。
Mica Maleで使用する安定剤は地中海地方原産のマメ科の植物、Carruba(和名:イナゴマメ、英語名:キャロブ)の種の部分を乾燥させて粉末状にしたもののみを使用しています。
シチリア島では古くからこのCarrubaのみを安定剤として使用してきました。
他の安定剤と比べると安定剤としての力は弱いものの、素材の味を邪魔せずマイナス温度のジェラートになっても、素材本来の味わいを味わっていただけるジェラートに仕上がります。
イタリア全土で収穫されているヘーゼルナッツ。
そのためイタリアのジェラテリアには必ずヘーゼルナッツのジェラートがあります。
イタリアンジェラートの定番ともいうべきヘーゼルナッツは、良質なトルコ産と香り高いシチリア産ヘーゼルナッツの2種類使用しています。
シチリア島にあるヨーロッパ最大の活火山エトナ。
このエトナ山の麓の小さな町ブロンテの農地は、度重なる噴火でできた古代溶岩石の土壌でできています。
栄養分を豊富に含んだ溶岩石の土地と、地中海性気候という恵まれた気候で育つブロンテのピスタチオは、さらに、生産の品質保持や若いピスタチオが翌年の収穫へ向けて、花が温存できるよう、2年に一度、奇数年にしか収穫されません。
このように恵まれた環境と徹底した管理のもと栽培される希少価値の高いブロンテ産ピスタチオは"緑の宝石"とも呼ばれるほど、世界中で最高級と賞され、スローフードやD.O.P(保護原産地呼称)の認証を受けているものもあります。
Mica Maleのジェラートには、このD.O.P認証を受けたブロンテ産ピスタチオを贅沢に使用しています。
良質なアーモンドの生産地でもあるシチリア島。
そのシチリア産の香り高いビターアーモンドを使用しています。
1922年創設のフランスの老舗、ヴァローナ社。
厳選されたカカオ豆と創業当時から受け継がれてきた伝統製法、熟練の技術を持って作られたチョコレートは、世界中のパティシエたちを虜にしてきました。
そんな世界が認めたヴァローナ社のカカオパウダーとカカオ分70% GUANAJA、カカオ分34% OPALYSのチョコレートを贅沢に使用しています。
ジェラートに仕上げた時のチョコレートの味と香り、口の中に残るその余韻は格別です。
日本では温暖な太平洋側が地中海性気候とも言われるほど、柑橘類を育てるのに適した気候から、沢山の柑橘類が育てられています。
しかし、北部では北部ならではの柑橘類が育てられている事も、忘れてはいけません。
厳しい寒さと共に育てられる北部生まれの柑橘類は、実のしまった、しっかりとした酸味と芳醇な香り、味わいを兼ね備えています。
Mica Maleで求めている柑橘類も後者。
ジェラートの本場イタリアの柑橘類も香り高くしっかりとした酸味と味わいが特徴です。
日本では"そのまま食べること"に重点を置き、品種改良を重ね、酸味が少なく、糖度の高い柑橘類が多く出回っています。しかしシャーベットにする際、それではインパクトに欠け、そのまま食べたほうが美味しかった、、、ということもしばしば。。。
そのためオープン当初は、柑橘類を使ったシャーベットはほとんど作っていませんでした。
そんな時に偶然知り合ったのが、専業農家の西野さんです。
それぞれの柑橘類が、本来もっているはずの酸味、香り、味わいを大事にされています。
草が芽を吹き、枝葉を付け、花を着け実を結び、枯れていく、枯れた枝葉は土を覆い土に住む生物の糧となりすみかとなり、豊かな土地の世界をつくる。
風や水や土、そして陽を浴びて木は成長し枝葉を着け実を着ける、人は実を食べふただび草を刈る。
人によって、多くの命にとって必要な物事が、多くの情報によって忘れられようとしている。
いのちを育む風や水や土、それを汚し続ける暮らしではなく、もう一つべつな暮らしを!
という考えから、
省農薬 "炭ができる工程にでる木酢液を一回散布"
有機栽培 "科学肥料ではなく、魚粕、菜種粕、カキガラその他から作るぼかし肥料"
を使って柑橘類をひとつひとつ丁寧に育てておられる西野さん。
また西野さんが柑橘類を育てている舞鶴市瀬崎は、舞鶴湾の外側、外海に面しており、断崖絶壁と海からの潮風という柑橘類を育てるのに最良の場所。
そのため昔からここ瀬崎は、地元民のみが知るみかん栽培が盛んな地域でもあります。
寒さの厳しい北部で、恵まれた環境と揺るぐことのない信念の下に栽培される柑橘類。
そのこだわりぬいた西野さんちの柑橘類を皮ごと贅沢に使用し製造しています。
使用する柑橘類は、
レモン
橙
ネーブルオレンジ
伊予柑
八朔
夏みかん
です。
とってもみずみずしいぶどうは、マイナス温度のシャーベットには基本的にとっても扱いの難しい食材。
そのためオープン当初、メニューにはなっていませんでした。しかし毎年ぶどうの美味しい季節になると、常連さんたちからのご要望が多かったのも事実。
そんな時にお知り合いになれたのが、舞鶴市西方寺のGracegardenさん。
子ども達に、洗わなくても安心して食べさせられるぶどうづくりをされており、ぶどうの他にも万願寺唐辛子なども育てておられる、地元舞鶴でも有名な農家さん。
こちらのGracegardenさんに、何年も前から相談させていただいていました。そのまま食べることがおいしいぶどう、その香りや味わいをマイナス温度でも伝えできることができるもの、、、。
そうして持ってきていただいたのが"サマーブラック"という品種です。
"独特な香りがあるから"
と言って届けていただいたサマーブラックは、巨峰とトムソンシードレスの交配品種。
巨峰との交配というのが納得の、しっかりとしたぶどうの香りと味わい、さらにライチのような香りとが合わさった、濃厚なぶどう感のあるサマーブラック。
この濃厚なぶどうの味を壊さないように配合を組み立て、皮ごとまるまる使用し、Mica Maleのぶどうのシャーベットが出来上がりました。
濃厚なぶどうの香りと味わい、さらにサマーブラックの持つライチのような独特な香りとがギュッと詰まった、香り豊かな爽やかなシャーベットが出来上がりました。
いちごの繊細な香り、味わいもまた、ジェラートやシャーベットにするにはとても扱いの難しい食材の一つ。
お店がオープンした年は、地元だけではなく色んな都道府県のいちごを使って、試行錯誤の日々でした。
選ぶ際には香りだけが頼りになりますが、香りがなくても味のあるものもあったり、香りが良くても味気のないものや同じ産地同じ品種でも毎度味わいの異なるものなどなど、、、。それらをさらに他の原料と合わせ、ジェラートに仕上げると味が消える、、、ということもしばしば。。。
そんな時に巡り合えたのが、舞鶴市平の専業農家、坂根ファームさんのいちごです。
いちごの他にもトマトなどの野菜やブルーベリーも育てておられる地元舞鶴でも有名な農家さん。
坂根さんのいちごの特徴は、香りよく程よい酸味とジューシーないちごの味わい。さらに当店のような加工する者にとって一番ありがたいことは、甘味等多少の変化があっても、香りや味わいはぶれることなく、いつも安定して良いものを育てていただけるということ。
この坂根ファームさんのいちごに出会えてなければ、Mica Maleで冬場の人気者である、いちごのシャーベットは今もメニューになかったと思います。